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天狐あやかし秘譚

第118章 焦眉之急(しゅうびのきゅう)


咄嗟に彼を、ヒロトシさんを突き飛ばしてしまう。
お腹の中で『綾音さん!』と言う佐那の声が響いた気がした。

「あ・・・綾音!?」

突き飛ばされたヒロトシさんがきょとんとした表情を見せる。一方の私は、上掛けを身体に引き寄せて、カタカタと体を震わせていた。その様子を見ていたヒロトシさんの目の色がゆっくりと変わり、元の色に戻っていく。

「あ・・・あれ?あれ?・・・き、君は!?」

私の格好を見て、周囲を見回して、また自分の格好を見て・・・。

「え!?・・・ここ・・あれ?ええぇっ!」

めちゃくちゃ混乱している。

『さ・・・佐那!』

心の中で言うと、もう一度私の目が光り・・・ヒロトシさんが昏倒した。
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