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天狐あやかし秘譚

第15章 福善禍淫(ふくぜんかいん)


☆☆☆
ダリの側に行くと、フロア中の制服警官が拳銃を構えてダリを狙っていた。いつの間にか、清香ちゃんと芝三郎も足元に来ている。

「綾音よ・・・こやつら、検非違使(けびいし)みたいなものであろう?吹き飛ばしたら・・・」
「ダメよ」
「うむ・・・なんとなく、そんな気がしていた」

だったら、壁も破らないでほしかったな・・・。ちらっとダリが取り調べを受けていたであろう隣の部屋を見ると、ドアが綺麗に吹き飛んでいた。

「では、このまま逃げるか?」
「それしかないかしら・・・ね」

困るけど。

「う・・・動くな!」
多分、この場、刑事課の執務室で一番階級が高いと思われる男性が声を上げる。
いやあ・・・動くなっつってもなー。

ぱん!

多分、恐怖が故だろう。誰かが発砲をする。しかし、その弾は当然ダリにたどり着くことはない。まるで見えない光の障壁にとらわれるように空中でとどまり、ころりと足元に落ちた。

まあ、ダリのことは信用してるし、こっから逃げるのは簡単なのだろうが、問題はそこじゃない。

今後の生活、どうすんねん。

たとえ逃げられたとしても、間違いなく、私達お尋ね者よね。全国指名手配確定。
家とか、就職どころじゃなくなった。国外逃亡も視野に入れねば・・・。

ちらっとダリを見上げると、非常に涼しい顔をしている。
まあ、事態がよくわかってないんだろうなぁ・・・この狐は・・・。
はあ・・・。

「動くな!」
馬鹿の一つ覚えみたいに、また男性が言う。
まあ、とにかく、けが人出ても嫌なんで、とっとと脱出しましょうか。
ダリ、と言おうとした矢先だった。

「はーい!みなさーん。ちゅうもっく!」
関西弁のイントネーションのふざけた声が刑事課の執務室の扉の方から聞こえた。誰かが入ってきたみたいだ。警察官の何人かがそっちを向く。
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