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天狐あやかし秘譚

第117章 大信不約(たいしんふやく)


そう言っただろうか?
その言葉を私の耳が捉える間もなく、おびただしい数の光る剣が天から一斉にあたり一面に降り注ぐ。

きぃいいいいいあいいいい・・・・・!!!

剣の群れは瞬く間に魑魅達を切り裂き、貫き、撃ち抜く。その一撃一撃が必殺の威力を持っているのか、無数にも見えた妖魅たちはあっという間に霧消していった。

そして、その全てが、ほぼ無音で行われたのである。

ほんの10秒ほどであろうか。光の剣の蹂躙が終わると、あたりの空気が清浄に澄み渡る。

しゅるんと退魔の槍を消し去り、ダリがこちらを振り向く。その頭上には、6月の星が美しく瞬いていた。

「綾音・・・終わったぞ」

ゆうゆうと笑うダリが私に手を伸ばす。へたり込んだまま、まだ震えが止まらない私がその手を取ると、彼はぐいと力強く引き起こしてくれた。
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