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天狐あやかし秘譚

第15章 福善禍淫(ふくぜんかいん)


「何件かは目撃情報もあります。例えば、田島香澄という女性が亡くなったのは、結婚詐欺にあって数百万の借金を負った直後でした。友人や家族からは『家族とも話して借金の返済の目処も立っていた。死ぬはずがない』と言われていたんです。ところが、ある日、唐突に自宅近くのマンションの屋上から身を投げて死んだ。そして、その3日後です。田島を騙した結婚詐欺師の井上和真という男が夜間、道路に飛び出して轢かれたんですよ。即死です。それでね、井上の友人が聞いてるんです。井上自身から・・・」

死んだはずの田島香澄から、何度も何度も電話が来て、消しても消しても留守電が入るんだ、って。

「声を聞かせてもらった人もいます。確かに田島の声だと後で証言しました。その声はね、毎回、一言だけ言うんだそうです・・・『これから、行くよ』と」

ひいいいいい!!
怖い・・・怖すぎる!!!

「ただの事件じゃないんですよ、これ、怪異が絡んでる。だからこそ、我々が動いている。」

我々は、警視庁捜査第一課第十三班
警視庁の中でも怪異が絡んだ事件を専門に扱っている、通称『呪殺班』です。

と赤城は言った。

「さて、本題に入りましょう。浦原綾音さん・・・。あんたが連れているの、ありゃ、人間じゃないですよね。なんだい?式神?あんたは使役者かい・・・?とにかく、呪殺が絡んでいる現場にあんたのような術者、それもかなり高等な術を駆使する奴がいる・・・。こりゃあ、普通じゃない?疑ってくれって言ってるようなもんだ・・・。ねえ?何企んでるの?教えてよ・・・。さあ・・・」

赤城さんが睨めつけるように見上げてくる。
ごくり・・・とつばを飲む。
なにこれ・・・本格的に疑われているの?しかも、ダリたちのことを分かって疑っている・・・嘘でしょ?

そして、もう一つ、心配なことがあった。

これと同じ取り調べを彼も受けているとすると・・・。
大丈夫だろうね・・・変なこと考えないでよね、ダリ・・・。

・・・どごーん!

そう思った矢先、建物自体が振動したのではないかと思うほどの爆音が響く。パラパラと天井から細かな破片が落ちてきた。

やっぱり・・・。私は頭を押さえる。
我慢・・・するわけないよね。あの天狐が。
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