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天狐あやかし秘譚

第114章 純情可憐(じゅんじょうかれん)


「じょ・・・上手なのですね・・・」
「ええ、4つ離れた妹がいて、よく洗ってあげたんです」
「宝生前さんに妹?」
「はい・・・桐理香(きりか)と言います」
「妹さんは、幸せなのです」
「よく喧嘩はしたんですけどね」
「・・・信じられません・・・」

その後、背中を流してくれて、前は・・・と思ったけれども、さすがにそれは自分で洗った。本当はしてほしかったけれども、恥ずかしすぎたのだ。

最後に私が湯船に浸かると、泡だらけになってしまった宝生前もシャワーを浴びる。

「先にパウダールームに行ってても大丈夫ですか?・・・姫様?」

なんて、またまたおどけて言うものだから、私もなんだか変なテンションになってきて
「行くでない・・・一緒に風呂に入るのじゃ」
等と言ってしまう。断られるかも、と思ったけれども、意外なことに、黙って彼は湯船に滑り込んできた。

ザバリとお湯が溢れかえり、浴槽に湯気があふれる。ラブホテルの浴槽は広いけれども、やはり二人も入るといっぱいで、私と宝生前の身体は裸のまま触れ合うことになった。

細いけれども筋肉質の体、
私好みの顔、
色気のある瞳・・・。

そんな人と、同じ浴槽に浸かって、手が、足が素肌のまま触れる。

ドキドキが、止まらない。

言ったら、叶えてくれる・・・のだろうか?
怖いけれど・・・嫌われたくないけれども・・・がまんも、限界だった。

「わ・・・妾の唇に・・・キス・・・するのじゃ」

これは、夢だろうか?
そうとすら思った。

何も彼は言わなかった。言わないまま、右手を伸ばして、私の首に手を回して・・・
ゆっくり抱き寄せて、キスをしてきた。
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