• テキストサイズ

天狐あやかし秘譚

第15章 福善禍淫(ふくぜんかいん)


そう、この女性の危機をいち早く察知したのは誰でもない清香ちゃんだ。彼女が走っていったからこそ、私たちも駆けつけ、結果的にダリがこの女性を救うことができた。

清香ちゃんはえーとねーと、人差し指を口に当てる。
「声が・・・たすけてって。だから・・・」
助けを呼んだ?それが清香ちゃんに聞こえたというのだろうか?

ちなみに、芝三郎もダリも、もちろん私も、そのような声は聞き取れなかった。
清香ちゃんにだけ聞こえたのかな?

でも、だとしたら・・・もしかして・・・。

清香ちゃんは死ぬ前に母親を目の前で殺害されている。それを救えなかったことを後悔して、ずっとずっと常世に行けずに苦しんでいた。だからこそ、誰かが助けを求める声に私達より敏感なのかもしれない。彼女をこの世に結びつけている、縛り付けている気持ちは、『助けたい』に他ならないのである。

そっか・・・。それを思うと胸が痛い。私は清香ちゃんの頭を撫でた。
へへへへ・・・と彼女は無邪気に嬉しそうにする。その笑顔はなんだか救いだ。
もし、この人を救えたことが、清香ちゃんの悔恨を少しでも和らげるなら良いのだけど・・・。

「う・・・うん・・・」
女性が目を覚ましたようだ。まぶたがぴくぴく動き、そっと目を開く。
「大丈夫ですか?」
声をかけると、上半身を起こし、周囲を見た。
「ここは?・・・私、なんでこんなところに?」
/ 475ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp