第5章 正体
しばらく経っても、広間に棒立ちのまま動かない私に、離れたところから様子を見守っていた豊前江が近付いてきた。
「でーじょぶか?その、青江が何か気になることを言ったかもしれねーけど、なんというか、あんまり気にしすぎない方がいいと思う。顔色が悪いし、少し休もう」
「……大丈夫です。ちょっと考え事をしていただけなので。
それより早く手入れ部屋に向かいましょう。山姥切国広が目覚めたかもしれないし、長義さんの様子も気になります」
優しさが何も信じられない気持ちになってしまった。豊前江はきっと私を気遣って休ませようとしてくれているだけだろうけど、もしかしたら何か意図があってのことかもしれない。
疑心暗鬼になって、素直になれず、私は彼の休もうという誘いを断って、手入れ部屋に向かうことにした。