第5章 正体
(ば、バレてる〜!!!!)
返事を考える間、にっかりさんの顔をなんとなく凝視してしまう。眉毛が凛々しいから意外と男らしい顔立ちをしているなとか、刀剣男士はみんな美形でそろそろ目が潰れそうだなとかどうでもいいことが思考に浮かんでは消えていく。
「え、えーと、その、なんというか」
「一瞬、君の気配が本丸から消えた気がしたのと、広間での三日月さんと君の距離感がおかしかったから、聞いてみただけだよ。困らせたい訳じゃない」
神隠しから帰ってきたら、なぜか三日月さんの距離感がおかしくなり始めたので、それに関しては私にもよく分からないです……と内心ツッコミつつ、にっかりさんに本当のことを伝えることにした。
「…たしかに、私は三日月さんの神域に一度連れて行かれました。気配が消えたというのもその時のことだと思います」
「ふぅん、やっぱりか。深く聞く気はないよ、馬に蹴られる趣味はないからね」
馬に蹴られるって……何か私たちの仲を誤解されてる気がしてならない。背中を嫌な冷や汗が伝う。
「配慮には感謝しますが、なにか勘違いされてると思いますよ……
あの、要件というのはこれで終わりですか?」
「いや、もうひとつ」
なんだろう?
「この本丸に瘴気が僅かに漂っているのは知っているかい?」
こくりと頷く。
「瘴気は、君のような人間だけでなく、刀剣男士の身も蝕む。
僕が言うのもおかしな話だけれど、
あまりこの本丸の刀剣男士を信用しない方がいい。人知れず、瘴気でおかしくなっているかもしれないから」
にっかり青江の言葉に身体中の温度が下がっていく感覚がする。今までの人生で聞いたどんな怪談よりも恐ろしい言葉だった。