第4章 探偵ごっこ
そこに立っていたのは、燃えるような赤い髪をもつ男士……大包平と、ちょうど今話にあがっていた、相変わらず死人のような顔色をした鶴丸国永だった。
鶴丸国永にさっきの話を聞かれたかもしれない。聞かれて困るような話ではないけど、緊張で私は指先に力が籠る。
2人は順番に要件を告げた。
「先程、山姥切国広が一瞬目覚めた。起きたときに水を飲ませたが、飲み終わるとまたすぐ眠ってしまった」
大包平がよく通る声で伝えた。
すると、ずっと沈黙を守っていた山姥切長義が、呆然とした顔でにわかに立ち上がる。
「すまない。俺は偽物くんの様子を見てくる」
彼はそう告げて、部屋を辞した。
あまりの急ぎ様にみんな呆気に取られる。この本丸での2振りの関係性はまるで分からないが、ずっと無言だったのも、己の写しを心配してのことだったなのかもしれない。
皆でとりあえず彼を見送ったあと、重々しく鶴丸国永が告げた。
「三日月宗近、話がある。少し付き合ってくれないか」
「俺か?」
真剣な調子の鶴丸さんに対して、相変わらずマイペースな三日月さんはゆっくりと微笑みながら聞き返す。
「あぁ、君じゃなきゃ駄目だ。話はあとでするから、とりあえず来てくれないか」
鶴丸さんは有無を言わせない強い口調かつ早口でそう答えた。
先程の山姥切長義もどこか様子がおかしかったが、こちらの鶴丸国永もだいぶおかしい。
「そこまで言うなら、話を聞こう。豊前、主を頼んだぞ」
「あいよ」
私のことを豊前江に任せて、彼は鶴丸国永と共にどこかへ歩いていった。