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ネコの運ぶ夢

第13章 家につくネコ


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市ノ瀬が帰った応接室。静香も四宮に促されて自室に戻った。応接室に残ったのは京介と京子の二人だけだった。

「京子、なぜ静香を連れてきた!」
苛立ちをにじませて京介は言う。当の京子は涼しい顔をして受け流していた。
京介も途中から市ノ瀬が例の静香と一緒に暮らしていた男だということに気づいたのだ。

「あら?囚われのお姫様を探しにナイトが来たのよ?会わせて差し上げなきゃと思っただけよ。会わせて、もう二度と会えないと思い知らせないと。」
京介は頭を押さえて、首をふる。
「お前は、頭は悪くないが、その感情的なところをなんとかしろ。足元をすくわれるぞ。わざわざ見せてやる必要なんてなかっただろうに。そうすれば留学してるとでもなんでも言えたじゃないか。それに、もし、静香が家のことをあいつに喋ってたらどうするんだ」
コロコロと京子は笑う。
「お父様は随分心配性ですね。あんな公務員風情に何ができるというの?」
「だからお前は脇が甘いんだ。隙を作るな!」
「まあ、随分な言いようね!もともと、お父様が静香を家から追い出すからこうなったんでしょうに。私が偶然見つけたから今回の縁談もまとまったようなものでしょ?」

む・・・と、京介は押し黙る。今回ばかりは京子の言うとおりだと言わんばかりだ。
京子は窓辺に寄り、庭を眺める。夏の庭は青々としていて、部屋の中から見る分には清涼だ。

「良かったじゃないですか?先方は静香の体質もご存知で引き受けてくださるんでしょう?これでやっと厄介払いができますね。」
「こら、滅多なこと言うもんじゃない。・・・まあ、いい、市ノ瀬のことはこっちで処理しておくから、お前は余計なことをするな。」

はいはい、と京子は肩をすくめて応接室をあとにした。
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