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ネコの運ぶ夢

第13章 家につくネコ


「こら!京子」
京介がたしなめる。さすが父親の方がこなれている。
「すいませんね、無作法な娘で。まあ怒らんでやってください。いま、こいつが言ったのは、我が家の家訓でしてな。『家のためにできることをせよ』と。私も父からそう教わってきました。私もこいつらにはそう教えています。」
家のためにね・・・。どこまでも時代錯誤な一族だ。
「名家の教えというわけですね」
一応調子を合わせておく。音子は心なしか青い顔をして無表情にうつむいている。音子にとってはこの場はきついか・・・。すまん。

「ええ、どうやら市民講座の方はお引き受けいただけるようで、とても安心しました。スポンサーの件も含めて後日うちの朝霞というものから連絡を入れさせます。どなたを窓口にすればよろしいでしょうか?」
「おお、それなら、そこの四宮にお願いします。うちの執事というか、そういう役のものです」
執事ね・・・。いちいちブルジョワだこと。
それではおいとま、と立ち上がりかけた時、京子が声を上げた。

「あら?静香とはもうお話なさらなくていいのかしら?
 この子、来月には結婚するんですのよ。そうなると、もうなかなかお話する機会がないと思いますわ。」

こいつ・・・。
浮かせかけた腰を下ろす。

「静香さんがご結婚ですか。それはおめでとうございます」
ここで、俺がこう言わないわけにはいかないだろう。それを見越して言ってるな。性悪。
父親はもしかしたら俺のことを知らないかもしれないが、この女は俺が音子といた事を知っている。知っててわざと煽っている。

音子がうつむくように頭を下げる。
それを見て、京子は唇を歪ませて笑う。嫌な性格が顔に出すぎだ。そっちがその気なら・・・。
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