第4章 深すぎず浅すぎず、近すぎす遠すぎず
小学校3年生の春。
とみさきちゃんは、毎日一緒に帰るほど仲が良かった。
笑って、遊んで、給食を分け合って。
でも――
4年生に上がってクラスが変わったころから、
少しずつ“違和感”が生まれていった。
ある日、休み時間。
「みさきちゃん、今日遊ぶ?」
が声をかけると、
みさきちゃんは後ろにいる女子グループを見て答える。
「あ……ごめん、今日はみんなと遊ぶから。」
その“みんな”は、
クラスでちょっと気が強い女子3人。
は笑って「そっか」と言ったけれど、
胸のどこかがひんやりした。
(みさきちゃん……最近、あの子たちと一緒のことが多い……)
そう思いながらも、
“変わったのは自分じゃない”と信じたかった。
⸻
ある放課後。
の机にメモが置いてあった。
『って男子に優しくしすぎ。
なんかむかつく。』
文字は拙くて、幼い。
でもその幼さが、逆に残酷だった。
(……わたし、何かした……?)
みさきちゃんに聞こうとしたが、
彼女は他の子たちと笑いながら帰っていった。
の声は、その背中に届かなかった。