第16章 薬師カブト
「フー…優秀すぎるってのも考えものだね…。」
暗部が外廊下に三人、
室内にマイと厳重に警備されたサスケのいる病室に
一人の男が、かけた眼鏡を直しながら、余裕な様子で眠るサスケへと近づく。
決して暗部の目を潜り抜けたわけではない、辺りには人形のように横たわる暗部達がいた。
(速い…しかも正確だ。暗部がほとんど何も出来ずに片された…人を殺るのに慣れているな)
殺気もほとんどない男の気配と、一瞬で絶えた外三人の暗部の気配で
いち早く身を隠し、部屋へと侵入してきた人物の動向を探るマイ。
「ボクらは目立ち過ぎた…
大蛇丸様の目に留まったのは
お互い不幸だったかな…」
(何の事だ…大蛇丸?そうかヤツの差し金か…)
サスケのすぐ側までくると、
何か考えこむように暫し見つめ、
メスを取り出す男。
首もとへそっと降りていくメスは、
サスケの首筋を切ることなく
後方へと投げつけられた。
その刹那男は前方へ前のめりに倒れ
瞬時に後ろ手に拘束された…マイによって。
「ぐっ…ふっふふ…。
流石ですね…水流園マイさん…」
『お前…大蛇丸のものだったか…カブト。
サスケに何のようだ。』
うつ伏せで倒れ混むカブトを後ろ手で拘束したまま頭上から問いかけるマイ。
「少し、殺気を抑えてもらえませんかね?これじゃ…話すに話せませんよ…」
ただの下忍ならとうに気絶しても可笑しくない殺気に、脂汗程度で堪えるこの男は、到底只者ではないことは容易に分かった。
「ボクは…ただの冴えない下忍ですよ…」
『私の完全に絶った気配から、その場の空気の動きで直ぐ様後方に攻撃。
その後の足元への攻撃をかわしつつの、急所への攻撃。
もう十分だカブト。お前は何者だ』
そんな風に評価してもらえるなんて、
光栄ですね。でも捕まってますけどね。
と、ヘラヘラと語るカブト。
冗談が言える余裕があるのか…。
マイは完全ノーマークだった実力者の能力値が計れないことに
内心落ち着かないでいた。