第1章 出会い
「…以上で式辞とさせていただきます。」
校長先生の声が体育館に響き渡る。
長くて退屈な式典の中、
私は式の内容とは全く関係のないことを考えていた。
新しいクラス、新しい友達、部活。
昨日までの日常とは違う、非日常の始まり。
しかし、私の目線は壇上ではなく、少し離れたところにあった。
落ち着いた表情で壇上の校長先生を眺める先生に注がれていた。
その先生だけが誰よりも輝いて見えた。
俗に言う『一目惚れ』というやつなのであろう。
気づけば式典が終わり、
新入生は各教室に行くことになっていた。
「誰が担任なんだろうなぁ…」
ふと考えた。
「あのカッコいい先生だったらいいなぁ…」
ぼんやりと考えているうちに、
教室に担任になる先生が入ってきた。
「三組の担任になる岡田です〜!よろしくお願いします!」
あ、あの先生じゃなかった…
少しがっかりしたけれど、改めてクラスを見渡した。
みんなそれぞれに不安げだったり期待に満ちあふれていたり、
うん、これから楽しくなりそうだ。