第31章 新しい時代-其の弐
「ゆあ さん、高祖父は後妻をとらずに最後まで一人だったそうです。若かったので縁談話も多かったそうですが、全てお断りしたそうです」
「そうなんだ…」
「息子の桜寿郎 は、父槇寿郎と共に医師に育てあげました。それから今に至るまで医師の家系です。俺も医学部に通っています」
あ、この目、杏寿郎さんにそっくり
「そうだったんですね。杏寿郎くんは鬼殺隊についてはどのくらい知っているの?」
「うちの書庫にあるものは全部読みました。鬼がいたなどとは信じがたいですが、あれを読めば信じざるおえないくらい事細かに書かれていました」
「確かに信じられないよね…鬼がいたなんて」
「ほんとですね。でも今、研究者達が日本の歴史にとって大事な事だからと鬼殺隊が再注目されているんですよ。そう考えると俺の先祖が隊士だったのは誇らしいですね」
…そんな風に考えてくれているんだ…
「鬼殺隊があったから今この世界には鬼がいないからね」
「ゆあさんにお渡しした本には何が書かれていたんですか?」
「うん、あれにはね私が知りたい事が沢山書かれてた。誰にも信じてもらえない…もう一つの私の人生の記録かな」
「…俺は信じますよ。ゆあさんから聞きたかったんです。どうして高祖父がゆあさんにこんなにたくさんの物を残したのか」
“杏寿郎くんなら信じてくれる気がする”
「杏寿郎さん…あ、高祖父の杏寿郎さんは、強くて優しい人でした。それが今のあなたに受け継がれているなって思った。
大変な遺言だったと思うけど、私を探し、見つけだしてくれてありがとう!」
「!?…なるほど…高祖父がゆあ さんを好きになった理由が分かる気がします。なんと言うか、あなたからも強さと優しさが感じとれます。あの、これからもっと高祖父の話を聞かせてもらえませんか」
「もちろんです!きっと話を聞いたら、同じ名前で良かったと思いますよ♪」
➖完➖