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The usual one【ヒロアカ中心】

第2章 ゆめのプロポーズ(轟焦凍)


 「……腹減った」

 2人でベッドでぼんやりしていると、焦凍が突然そう呟いた。

 「……何か、作ろうか?」
 「俺ん家、何もねぇぞ」
 「じゃあ、買いに行こっかな」

 私が体を起こしながら言うと、焦凍が後ろから抱きついてきた。

 「一緒に行くよ」
 「え……でも、1人で大丈夫」
 「何で?」
 「だって、2人で行ったらさ……女のコのファンが、がっかりするから……」

 私がごにょごにょと言うと、プッと吹き出された。

 「は、いいって別に、そんなの」
 「ファン減るよ……?」
 「いんだよ」

 焦凍がそう言うなら、いいのかな……

 「じゃあ、行こっか」
 「その前にさ、話あんだ」
 「ん?」

 私を抱きしめる焦凍の腕に、力がこもった。

 「毎日、繭莉が作った飯、食いてぇ」
 「え……」
 「俺……燈矢の事もあるけど、繭莉のおかげで自分が飯食うの、好きだって気付いた」

 次に言われる言葉は、何となく察しがついてしまった。


 「結婚、してくれ」


 察しはついていたけど、いざ言われると吃驚する。

 「いいの……?私で……」
 「繭莉がいいんだ」

 じわっと、自分の目に涙が浮かぶのが分かった。

 「……はい……」

 頷くと、後頭部にちゅっとキスされた。

 「行こう、繭莉」

 ベッドから立ち上がった焦凍が、手を差し出した。

 私は、その大きな掌に自分の指先をちょんとつけた。
 そしたら、ぎゅっと手を握られて指を絡められた。

 何かこの手の繋ぎ方、照れる……っ……

 「飯食ったら、今度は一緒に風呂入るか」
 「え!」

 顔が一気に熱くなった。

 「はは!繭莉、焦りすぎだろ!」
 「……揶揄わないで……」
 「行くぞ、近くにスーパーあっから」
 「……うん!」

 私達は、並んで歩き出した。

 この、ありふれたラブストーリーはこれからも続いていくんだろう。


 きっとずっと、どこまでも。



           
                       おわり
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