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たまのケージ【ヒロアカ】

第11章 スターと恋(轟焦凍)


 そんな事があってから、1か月が過ぎた。

 本当は、繭莉に会いたかったけれどどうしても倫音との事や、どう信じればいいか分からないとか、そんな事ばかり考えていたら会いたいと言うのも悪い気がしてしまって連絡も出来ずにいた。

 そんなある日の夕飯時。

 居間でテレビをぼんやり眺めていると、いつの間にか生放送の音楽番組が始まっていた。

 「あれ、焦凍、音楽番組観るなんて珍しいね」

 食器を両手に持った冬美が言った。

 「……いや、見てたら勝手に始まった」
 「そうなの?」
 「うん」

 特にチャンネルを変える理由もなかったので、そのまま観続けていると、MCがゲストの紹介をし始めた。

 もしかしたら、繭莉出るかも……

 そんな淡い期待をすると、ついテレビを観る目が真剣になってしまう。

 『そして、今大人気!甘井繭莉さんです!』

 繭莉……!

 テレビの画面には、笑顔の繭莉が映っていた。

 『よろしくお願いします!』
 『今日は、初めて新曲を披露してくださるそうで』
 『はい!楽しみにしててください』

 そして、次のゲストが紹介されていく。
 しかし、そんなのは焦凍の頭には入って来なかった。
 入ってきたのは、繭莉の情報だけ。

 久しぶりに見る、繭莉の笑顔。

 心臓がドキドキと早鐘を打った。

 いつの間にかテレビに夢中になっていると思われたのか、冬美が食器を机に置きながら言った。
 「焦凍、甘井繭莉好きだったの?」

 好き……

 好き。

 「……ああ、好き」

 好きの意味を、ただのファン的なものと受け取った冬美は「そうなんだ」と相槌を打った。

 「ご飯、冷めないうちに食べちゃいなね」
 いつの間にか夕飯が並べられていて、焦凍は少し吃驚した。

 そんなにも自分はテレビに没頭していたのだろうか。
 若干怖い。

 そう思いながらテレビを観ていると、知らないイントロが流れてきた。

 繭莉の新曲だった。

 やっぱり、いつものように曲調はポップな感じなのに歌詞がエグい程絶望的だ。

 それを、笑顔で歌う繭莉。

 ふと、テレビの画面の彼女がカメラ目線をしたので目が合ったような錯覚を覚えてしまう。
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