第8章 恋人ごっこ(ホークス)
「……繭莉を捨ててくの」
うららの突然の告白だった。
「お父さんも、お母さんも、みんな、他に好きなひと、作っていなくなっちゃった……繭莉が誰かを好きになると、そのひといなくなっちゃう……いつも、結局一人ぼっちになっちゃうの……だから、繭莉なんて名前、いらない……」
そうか。
ただの寂しがりかと思ってたけど、違かった。
この子は普通に愛に飢えてるだけなんだ。
「……ホークス……わたしの事、捨てないで……」
床の上のスマホが、まだビービーとうるさい音を立てていた。
それを拾って、電源を落とすと、再び床に放り投げた。
ヒーロー失格だな、俺。
「捨てれる訳、ないでしょ……繭莉」
抱きしめる腕に自然と力が籠ってしまう。
「俺だけ選んで。……そしたら……死ぬまで愛してあげる」
「……ほんと……?」
「うん、ホント。繭莉が嫌んなっても、ずっと」
我ながら、驚く程歯の浮くような台詞を言っていると思う。
でも、そんな事はどうでもよかった。
繭莉が、手に入るなら。
「……わたし、ホークスだけのものになる……」
ああ。
やっと、手が届いた。
ずっと焦がれて焦がれて欲しかった。
ついに、手に入れてしまった。
「繭莉っ……!」
力に任せて繭莉を床に押し倒す。
そして、もうさっき言った事を取り消せないように唇を奪う。
「……ん、ふぅ……っ」
お互いに舌を絡ませ合うと、もうそれだけで脳味噌が溶けそうな程熱くなってくる。
キス、すっごい気持ちいいんだけど。
よく、心が通じ合うとなんとかって言うけどそれかもしんない。
これ……即勃ちでしょ。
いったん唇を離すと、とろっとした表情の繭莉と目が合ってしまう。
「ホークスのちゅー、きもち……」
そんな顔して、そんな事言われたらさぁ……!
理性なんて簡単に吹き飛んで、細い脚を掴むとぐいっと広げさせた。
「っ……見えちゃう……」
「うん。すっごい、丸見え」
酒の所為で赤くなっていた繭莉の顔が、更に赤く染まる。
太腿をつぅっと舌でなぞると、小さく身体を震わせる。
「んっ、あ、あ……!」