第6章 ブルーベリー・ナイツ(切島鋭児郎)
自分が絶頂したのと同時に、また温かい精液が出された感覚がした。
「はぁっ……繭莉……好きだ」
「……ありがと……」
私達は、どちらからともなくキスをした。
運命の誰かは、意外な所にいたんだと実感した……そんな夜だった。
そして、A組の皆とまた集まれた日の事。
「ええぇ~っ!?あんたら、付き合ってンの!?」
芦戸ちゃんのおっきな声が、居酒屋に響いた。
「ンだよ。俺達が付き合ってたら悪ィみてぇな言い方しやがって」
「違うって、そうじゃない!ただ、意外過ぎただけ!」
どうやら、私達が付き合う事になるとは誰も予想していなかったらしい。
「芦戸、分かる!ウチも意外だと思った!甘井、どういう経緯?」
「……もうこの話、よくない……?」
私がそう言うと、芦戸ちゃんは「よくない~!」と駄々をこね始めた。
「だってさ、切島って全っ然ホークスと程遠いじゃん!何があったらこうなるの?」
……それ、やめて……
「何かがあったらこうなるの!もう、この話おしまい!」
「ええ~つまんない!恋バナしたい~!何かって何があったの!?」
「何かは何か!」
「も~、秘密主義すぎやしない?教えてよぉ!」
……何を、どう教えればいいのか分かんないから濁してんのに……
「芦戸、繭莉困ってんだろーが!もういいだろ」
「なに~!?繭莉って呼んだぁ!このリア充がっ!」
芦戸ちゃんが切島くんをえいっとどつく。
……もう、いくない?ホントにこの話題……
そう思っていると、隣に座っていた轟くんがボソッと言った。
「切島と甘井、結婚すんのか」
は……!
「轟くんちがう、そうじゃない」
なんでっ、そう突拍子もない事言うの、この子は!
「は?しねーの?」
「き、切島くんまでそういう事……!」
「あれ?甘井は切島くん呼びなんだ……温度差、ない?」
じ、耳郎ちゃん!
「お、温度差て……」
私がしどろもどろになっていると、轟くんが言った。
「甘井も結婚したら切島になんだぞ」
「あ、あのね?だから轟くん、ちがう」
やっぱ、秘密にしときゃよかった……
そう思いつつ、人並みの幸せを噛みしめちゃったりしてる今日この頃だった。