第42章 静寂の不安 ― 霞の中の無一郎
柱たちの熾烈な奪い合い、若手組の純粋な猛アピール。
そんな「嵐」のような日々に翻弄されながらも、私の心の片隅には、ある小さな、けれど確かな「違和感」が芽生えていました。
それは、時透無一郎くんのこと。
あの日、しのぶさんの部屋での乱闘(?)以来、無一郎くんはピタリとスキンシップを取らなくなっていた。
義勇さんが強引に抱き寄せたり、実弥さんが首筋に痕を残したりする横で、彼はただ、どこか遠くを見るような瞳で私をじっと見つめているだけ。
(……どうしたんだろう。あんなに執着してくれていたのに、もしかして、私に愛想を尽かしちゃったのかな?)
他の人たちが「もっと俺を見ろ」と騒げば騒ぐほど、彼の静寂が胸に突き刺さる。
心配で、寂しくて、夜も眠れないほど彼のことを考えていた……そんな時。
「……。僕の屋敷に来て。二人きりで、話したいことがあるんだ」
いつもより低く、少しだけ震える声で呼ばれた私は、心臓が口から出そうなほど緊張しながら、彼の住む「霞柱敷」へと向かうのだった。
屋敷の奥。
夕闇が迫る静かな部屋で、無一郎くんは背中を向けて立っていました。
「無一郎くん……あの、最近あんまり話してくれなかったから、私、嫌われちゃったのかと思って……」
私の声が震えると、彼はゆっくりと振り返りる。
その瞳には、私が想像していた「冷め」など微塵もなく、むしろ爆発しそうなほど濃密な、けれど必死に抑え込まれた「情熱」が渦巻いていました。
「嫌うわけないじゃないか。……逆だよ。他の人たちが君を触るのを見ていたら、僕の中の何かが壊れそうで……。今、君に触れたら、僕は君を壊すまで離さない自信があった。だから、我慢してたんだ」
無一郎くんは一歩、また一歩と私に近づき、私の両肩を震える手で掴む。
「。……僕は、君を誰にも渡したくない。柱の皆と共有するなんて、本当は耐えられないんだ。僕だけのものになって。……僕と、結婚してほしい」
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