第2章 好きな色
乳白色のお湯に、立ち上る湯気。
奥多摩のとある温泉に呪術高専1年生の四人はいた。
事の発端は寮の水道管が壊れてしまったこと。湯が出なくなり、シャワーが使えなくなった。
寮の部屋に元々湯船はない。
行きつけの近所のスーパー銭湯もあるが明日は休み。ちょっと羽を伸ばしてもいいんじゃないと、今日も任務をこなした四人は以前教えてもらった、展望のよい露天温泉を目指したのだ。
時間が遅いだけに、人は少なく貸切状態だった。
先に体を洗った虎杖は、お湯に飛び込むとお約束のように泳ぎ始めた。
「すげー気持ちいいぞ、伏黒!」
「バカ、泳ぐな」
湯加減は熱くもなし、ぬるくもなし、ちょうどいい加減。ゆっくり湯に浸かると、日頃の疲れがほぐれるようだった。
露天風呂から空を見上げると満点の星空。
東京にいるのを忘れそうだ。
「星きれいだな!」
「そうだな」
鈴も今頃同じ星を見ているだろうか。できれば大切な彼女と一緒に眺めたい。
竹の塀を隔てて隣が女湯で、ちょうど華やいだ女子の声が聞こえてきた。