第6章 英雄
(……!柊さん…!)
彼まで来てくれるなんて
それに松本さん、柳田さんまで 多聞衆が勢ぞろいだ
(……凄い)
これだとすぐ片付くかもしれない
(……………っ)
でもこのままいてもここにいいんだろうか
梶さんは近いところに指を指してあそこにと言ってくれたけど
(ごめん…梶さん!)
ことはちゃんが心配で仕方ない
申し訳なく思いつつ
喧騒の中に紛れ急いで彼女のもとに駆け寄る
[っ…はっ…大丈夫…!?ことはちゃん!?]
[さんこそ!無事でよかっ…]
(……あ)
傷がない
桜さんが守ってくれたおかげか本当に怪我がないようだ
よかった
と一息つきほっとした瞬間
[さん!後ろ!]
[えっ]
[おらぁ!!]
嘘
いつの間に
拳が顔面に向けて放たれそうになる
避けられないとギュッと目を瞑るも
(…………あれ)
痛くない どうして
恐る恐る目を開けると
[……っ……くそっ!]
[桜!!]
[さ、桜さ………!]
拳を受け止め私を庇い応戦してくれているも
(足が……!)
さっき刺された時の傷が響いているのか動きが鈍い
私が余計なことをしなければ彼は
(………っ…!)
[駄目!]
[ちょ……!さ…!]
役に立たないけど私の体ごとぶつけてしまえばいい
その短絡的な考えを実行する前に
[え]
男の体が視界から外れる
凄まじいスピードで横に倒れてしまった
電光石火のように人には見えない速さで
(こ……れは…)
私の眼の前にいたのは敵ではなく
[……柊さ…ん]