第3章 出会いⅤ
[桜Side]
[は?………おいっ!]
(行きやがった…)
案内したと思ったらすぐ行きやがった
もしかすると用事があったからかもしれねぇがそれにしては帰るのが早すぎるんじゃねぇか
(…………?)
(なんで"早い"って思うんだ…?)
(………………)
訳が分からねぇ
あいつと会った時から何かに取り憑かれかのように目が離せない自分がいたことに驚きを隠せない
強いやつだったら面白れぇ闘ってみてぇと興味は持つが
あんなビクビクとしたか弱そうな女に
なんで顔を赤くしてるんだ
(はぁ)
(…………………考えてもどうにもならねぇな)
"俺"と話すときは大体は容姿を見た途端悪口を言ったり避けるのに
あいつは怖がりもしなければ普通に話しかけてきた
挙動不審なところはあったが嫌そうな顔一つもせず
(………そういや)
あいつの名前聞かなかったな
ここらへんの近くだしもしかすると
また会えるか
(はっ………何考えてんだ…)
(…さっさと荷物片付けて寝るか)
階段に一歩踏み出すとギィと鳴り
今にも壊れそうな音を奏でながら一歩一歩踏み出す
そんな馬鹿みたいな期待して何になる
考えている暇があるなら"強くなること"を考えねぇと
偏差値は最底辺
喧嘩は日常茶飯事 そして最強の名に恥じない猛者達が集まる
風鈴高校
俺はそこで"てっぺん"を獲りに来たんだから