第3章 似た者同士
「わあ、月だ。」
日もすっかり落ち、夜空には大きな月が浮かんでいる。
現実世界に比べ街灯やビルのライトなどもすくないこの世界では月や星がより綺麗にみえる。
外の空気を吸おうとわたしは玄関からでて柵にひじを置き月を眺める。
この世界に来て10時間たらず。
色んなことがあったなぁ。
そのせいか身体は疲れており、今にも眠ってしまいそうだ。
しかし私は今は月を見ていたい気分なのだ。
「風呂上がりに風邪ひくぞ」
後ろから声が聞こえ、振り向くと銀さんがいた。
先程湯船を借りさせてもらい、ドライヤーで髪を乾かしたところだった。
「夏だから大丈夫です」
「…あっそ。」
ぶっきらぼうにそういうと銀さんは私の隣にたち柵に寄りかかる。
「…月、綺麗ですね」
「月ィ?ああ……そうだな」
「小さい時から月、好きだったんですよ。」
「ふーん」
興味無さそうに鼻をほじる銀さんを見てわたしは「もどりまーす」と万事屋の中に戻る。
頭をポリポリしながら銀さんはその後をついてくる。
部屋に戻ると私用の布団がひいてあった。
寝室はひとつしかないとのことで、私はソファーで寝ると言ったが、神楽ちゃんに怒られてしまい、銀さんが寝ている寝室にお互い端っこに布団を敷き寝させてもらうこととした。