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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第5章 仮契 〜契初〜


「朝霧〜、これ、ここでええ?」

荷物の少ない私の荷解きを手伝ってくれている副隊長は、本の整理をしてくれている。女の子らしくもないトレーニングの本や怪獣についての本ばかり。はい、と答えてしまってもらう。

この荷解きが終われば、私たちの同棲は幕を開ける。不安と期待が入り交じる私の胸は、未だにこの空間に副隊長と2人だけという事実に音をたてていた。

気付けば副隊長は本の整理を終わったようで、これは何入ってるんと聞きながら、一つの箱を開けようとしていた。

「っ!ま、ままっ、待ってください!!書いてあるじゃないですか!」

「ん?"服 下"しか書いてないで?ズボンとか?」

違います!と慌ててその箱の上に覆い被さって抱き締める。この箱には下着が入っている。副隊長になら見られてもいいと思うが、副隊長だからこそ、恥ずかしくて見せられない。

「なんや、見られたらあかんもんなん?下着?」

そうです!と箱を抱き締めたまま答えると頭を撫でながら、ブラなら1回見とると意味がわからないことを言いながら私を退かそうとする。

持ってるのが1個だけなわけがない。全部見られてたまるか。パンツまで入っている、見せられたもんじゃない。

副隊長はすまんすまんと笑いながら謝り、別の箱へと手をつけた。私の胸はまだバクバクとしたままだった。
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