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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第4章 指令


「僕ら、夫婦なったから…よろしゅう」

いつもの軽い調子で八重歯を見せながら、頭に入れといてなと両手の親指と人差し指を立てて顔の横に掲げる。

多くの隊員たちの前で副隊長は淡々と述べ、私の肩を抱いた。慌てて俯いた。絶対、顔が赤くなっている。そんなの、みんなに見られるなんて恥ずかすぎる。

「おめでとうございます!」「お似合いです!」
と、男性隊員の声。

「嘘でしょ…」「ありえない!」
と、女性隊員の声。

わかっている、これは偽装結婚。いくら祝いの言葉をもらっても、批判の声が響いても、この関係は何も変わらないし、みんなを騙している事実。

唯一本物があるとすれば、私の気持ちだけ。


亜白隊長が呼んでいた各メディアの記者が到着すると、少しの質疑応答と2人並んで笑顔を見せてフラッシュが炊かれる。

声が震えて上ずる私と、淡々と涼しい顔でたまに軽口を挟む副隊長。2人の対比が浮き彫りになっていた。

「僕、澪ちゃんのことしか見てないんで。みんな、温かく見守ってな〜」

副隊長は一般女性にも牽制を怠らなかった。
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