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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第19章 美命


繋がったままTシャツを脱いだ宗四郎は、そのTシャツで濡れたお腹や太腿を拭いていく。

「やばいな…澪、どんだけ吹いたん?これ、乾くん時間かかるわ」

ケラケラと笑いながら、優しい顔をする。あ、いつもの宗四郎だ。そんなことを思いながら、顔を赤くして、未だに熱を篭もらせた瞳を見つめた。

ゆっくりと自身を引き抜いて、零れてくる液体を拭き取る。零さんでと笑いながら…私だって、出来ることなら零したくない。

「ははっ、気持ち良かったな?澪…ん、ちゅーしよ…」

優しく唇が重なって、次第に深くなっていく。絡まる舌が熱くて、冷まそうとしていた熱がまた上がっていくような気がした。上顎の奥から擽って離れていく。

額を合わせて、目を細めながら見つめ合う。

「斬ることだけが、僕の存在証明やった。せやけど――君の存在そのものが、僕の…命の意味を見出す。澪の命は、僕の一部や。それは君もやろ?」

なにそれ……そんなことを言ってもらえるなんて、思ってもいなくて…心臓が止まりそうだった。何度も頷きながら、温かい雫を顬に零した。

頬を包んだ手が雫を掬い、瞼にキスをされる。目を瞑ってまた開けると、赤紫と目が合って、一緒に笑い合った。

命…私のものでも、宗四郎のものでもない、何かを感じた。そう感じただけ――それでも確かに、私の中に何かが宿った気がした。

「命……新しい命。美しい命。……みこと。美命…男の子だと、尊敬の"尊"でみことかな?」

「……なに言うとるん?みこと?」

眉間に皺を寄せて見つめてくる宗四郎に一瞬だけ唇を触れさせて、クスクスと肩を震わせる。なにぃ?と脇腹を擽られて、クネクネと身を捩った。
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