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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第18章 愛縛 〜縛愛〜


昼休憩が終わり、結局、宗四郎は午後から私に訓練をつけてくれると言って、一緒にスーツを着て訓練室に向かった。

散々、休憩まで扱かれて、宗四郎にはもう非番なんだから休んでと無理やりやめさせた。寝不足の身体でこんなに動かされては、倒れてしまいそう。別に宗四郎が休みだからと手を抜く気はなかったが、宗四郎の訓練はきつすぎた。

「ほら、出来てへんで〜。遅いわ!もっと速く突き出す!」

動いていなくても、口は忙しいようだ。いや、"動いていない"からか。この人、休み下手過ぎるでしょ…休みなのに基地まできて、訓練までつけるなんて…仕事人間だ。

「おっぱい揺れとるで〜」

「は!?」

スーツだからほとんど揺れることもないのに、宗四郎の言葉で胸を見ながら腕で隠した。

「セクハラです、副隊長」

宗四郎は楽しそうに笑って、はよやりぃと声をかけてくる。宗四郎のせいで中断したのだが…頭をぶんぶんと振って邪念を振り払い、サーブルを前に突き出した。

あかんと言われてもう一度突き出す。ずっとこれだけを練習しているのに、なかなかものに出来ないもどかしさが私を焦られせていく。

「ふっ!……副隊長〜もっかいやってください〜」

泣きべそをかきながら宗四郎に助けを求める。しゃーないなぁと笑いながら宗四郎は刀の柄に指をかけ、次の瞬間、風が吹いた。もし目の前にいれば、身体に穴が空いていただろう。

「気張りや〜」

宗四郎の軽い声を聞いて、またサーブルを突き出した。何度も何度も…。
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