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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第17章 愛縛 〜呟愛〜


「澪…僕のこと、宗四郎呼んで。僕もずっと澪って呼ぶ」

「そ、宗四郎…好き」

行為を終えて隣で横になる宗四郎を見つめた。行為中に想いを言葉にしてしまったことを後から気付き、もういいやと好きと紡ぐ。

宗四郎は微笑みながら額に口付けた。私が言っても答えてくれないんだ…。寂しさを覚えながら起き上がって、首筋を吸った。もう誰のものにもならないで…私だけのものでいて。

「僕も……前に言ったん、聞いてた?ほぼ寝とったけど…」

頭を撫でてくれる手が温かくて、何度も吸い付いてしまう。でも宗四郎の言葉でいつのことか気になって、聞き逃してしまったことに後悔した。

「いつ…いつ言ったの!?ねぇ!」

「やから、寝惚けとる時…その後起きとったけど」

全然覚えてない…もっかいと顔を見つめた。

「やぁや、聞いとらんのが悪い」

意地悪な笑顔を浮かべたので、頬を膨らませて睨んだ。それでも笑っているので、胸に手を這わせ、指先に触れた突起をぎゅうっと摘んだ。

痛いわとその手を取られて、今度は宗四郎が上になった。お返しと言うように突起を摘まれて、痛いと訴える。すると、顔が下りてきて、耳に口が近付いた。

「好きや…他の男見たら許さん。僕も澪しか見とらん」

途端に胸が高鳴り、目から温かい雫が零れていく。これは見せてもいい涙だろうか…。
でも、そんなことはどうでもよくて、嬉しすぎて涙は止まることを知らない。
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