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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第16章 愛縛 〜爆愛〜


「ねぇ…なんであの人だったの?」

何も言わない宗四郎さんに、私から聞いた。

「宗四郎さんだったら、私が相手したのに…私じゃいけなかったの?宗四郎さんの為だったらなんだってするのに!」

苦しくて苦しくて、どうしようもない。
目頭が熱くなって必死に抑える。この人の前で流していい涙は、こんなものではない。

「澪ちゃんは、未成年やったから…やから、君に声が似とるアヤを選んだ」

「え…?」

未成年?声?いつから宗四郎さんは…どうして待っててくれなかったの?
私だけじゃなかった。想っていたのは、私だけじゃなかった。

でもどうして声?
そういえば、たまに声が好きだというようなことを言われたことがある。

「私以外に…あの時の宗四郎さんを知ってるの、やだ…」

「それは…すまん。アヤ以外にもおる」

わかってる、過去のことだ。今更そんなことを責められるはずもないのに、モヤモヤする。なら…これからは私だけに見せて…。

「終わったよ。生理、終わった」

少し考えた宗四郎さんはニヤッと口角を上げて、胸に触れながら顔を近付けてきた。
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