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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第14章 愛縛 〜抱愛〜


熱い身体をピクピクと震わせながら、自身を薄い膜で覆う宗四郎さんを見つめた。少し頬を赤くして荒く息をする2人の鼓動が響く。

「澪…僕のことだけ見とって。僕のことだけ考えとって」

もうあなたしか見てないし、あなたことしか考えてない。

ジッと見つめていれば、入り口に宛てがわれた熱いモノは、ゆっくりと私を暴いていく。

「っ…んぅ……宗四郎さん…」

「澪……君の中、僕だけで満たしたる。僕以外じゃ満足出来へん身体にしたるから、他の男なんか見んといて」

大丈夫や…とゆっくり確実に押し進めてくる。
ほんの少しの痛みと共に、私の全てが満たされていく。

他の人なんか見ないから…宗四郎さんだけだから、どうか…あなたも他の人なんか見ないで…。
私以外の人の匂いを染み込ませないで…。

膣壁を押し退けて隙間なく奥に入ってくる。涙が勝手に零れて、見せたくないとか、そんなこと考えられなかった。

眉間に皺を寄せながら甘い吐息を零す彼が、どうしようもなく愛しい。宗四郎さんが奥に進む度に、私の体温が上がっていく。鼓動が抑えられない程、早くなっていく。

繋がれた手に安心して全てを委ねた。

「っ、はっ…ひっ……んっ」

「澪、大丈夫や…深呼吸して……痛い?」

安心しているはずなのに息が上手く出来なくて、涙が溢れてくる。
軽く首を振りながら、大きく息を吸って、吐いた。

頭の隅に"アヤ"がチラつく。偽装結婚を始めた頃、こっち来てからしてないようですけど…と聞いた私に、"それなりにあるわ"と答えた彼を思い出す。

私はこの人しか知らないのに、この人は色んな人を知っている。とても虚しく感じた。
それでも、この人に抱かれるのは嬉しくて堪らず、高鳴る心臓と共に、想いが溢れてしまいそう。

「はぁ…ん…宗四郎さん、す……捨てないで…」

グッ…奥に押し付けて私の上に覆い被さった彼は、私を優しく抱き締めた。

「……死んでも離さへん」

耳元で囁かれたその言葉にどこまでも縛られていく。心臓がより一層、大きな音を立てた。

好き…すごく。誰よりも、何よりも…愛している。
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