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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第14章 愛縛 〜抱愛〜


その後、本部へ行っていた亜白隊長から連絡がきた。日比野カフカ、処分保留…と。

「やったあああ!!」

トレーニングルームで同期や小隊長たちと筋トレをしていると、伊春くんが喜びを叫んだ。
保留だけど…これはすごいことだろう。お堅い上が怪獣の処分を保留にした。日比野さんが頑張ったのだろう。

トレーニングルームから飛び出し、執務室へと向かう。
執務室で、椅子に座り両手を頭の後ろで組むオカッパ目掛けて飛び込んだ。

「おわっ!なんや!?」

「日比野さん、よかった…」

そやな、と私の頭を撫でて優しい声を漏らす。

「これからが大変や、言ってませんでした?」

「それはシーや!こない喜んどる澪ちゃん、珍しいんやから」

小此木さんと何か話しているようだ。
本当によかった…信じてたけど、怖かったから。

そのまま抱きついていると宗四郎さんのスマホが鳴る。宗四郎さんは私の背中を撫でたままスマホを確認した。

「……澪ちゃんすまん、今日も遅なるわ。飯食って風呂入って、寝とって」

あぁ、"アヤ"か…そう思った。いつになったら私と晩ご飯を食べてくれるの?私が作ったご飯を美味しいと言ってくれるの?最近は朝ご飯だけだ。

わかったと返して離れる。
行って欲しくない。私といて欲しい。
無意識に袖を握っていた。

「小此木ちゃん、目ぇ瞑っといて」

グッと引き寄せられて唇が重なる。小此木さんがぎゃー!!と叫びながら執務室から出ていった。

キスで誤魔化そうたって、絆されないんだから。

ぐちゃぐちゃに絡み合った舌が離れていく。やだ、離れないで…また唇を押し付けて、息を荒くしながら必死にしがみつく。

それでも終わりはきて、それ以上唇は重ねてくれなかった。

「やだぁ…」

「大人しく待っとって。帰ったら、ぎゅってしながら寝たるから」

頬を撫でられて、わかった…と呟いた。
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