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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


どんどん離れていく宗四郎さんと怪獣を見つめる。
縦横無尽に飛び回り、何度も何度も攻撃をし続ける宗四郎さん。

きっと、身体は限界のはず…スーツだって…。
それでも副隊長として在り続ける彼を見て、涙が零れそうになった。

一気に保科流刀伐術を繰り出していく宗四郎さんの姿が、怪獣の手の中に隠れていく。

「そ……宗四郎さんっ!」

もう副隊長と呼ぶことさえ忘れて、すぐに駆け寄る。廃墟を伝って手まで辿り着き、必死にその手を引き剥がそうと試みる。

このままじゃ…宗四郎さんが握り潰されて……必死にナイフを突き刺したり、拳銃で撃ったりするが、手の力が弱まることはなかった。傷もすぐ修復されていく。

「やだ…今助けるから……死んでも守りたい人なの…」

「っ…澪ちゃん、頼むから…ぐっ……逃げてや…」

目頭が熱くなって視界が歪んでいく。今はそんな時じゃないと必死に振り払っても、すぐに愛しい人の姿が歪む。

「皆、よく耐えてくれた!」

っ!亜白、隊長の声…!
その声を聞くだけで、酷く安心していく。
もうこの人が危険に晒されることはない。

「怪獣、僕の勝ちや」

宗四郎さんが怪獣を見て笑った瞬間、砲弾が炸裂する。
衝撃で手が離れ、私と宗四郎さんは落ちていく。近くに着地して、彼が無事なことを噛み締めた。

「僕はこの基地の副隊長。あの人に繋ぐのが務めや」

怪獣は砲弾が飛んできた方向を向く。
瓦礫に背を預けた宗四郎さんに肩を貸した。
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