第99章 逢いたくなったら〜冨岡義勇 時透無一郎 【R強】
義勇さんが、去り残された部屋で、私の心臓は壊れそうなほど高鳴っている…。
「ごめんなさいね、ゆきちゃん…」
甘露寺さんが申し訳なさそうに眉を下げて話しかけてきた。
「今朝、お散歩の途中にうちへ向かってくる冨岡さんを見つけたの。そしたら、手には昨日ゆきちゃんが作ったプリンを持っていて…事情はそこで聞いて、どうしてもゆきちゃんに直接渡したいって言われて…連れてきちゃった…。」
「そうだったんですね」
昨日、私はあのプリンを川に投げ捨てようとしていた…その時に川に落ちそうになり義勇さんに抱きとめられた。
「…無一郎くんに、渡せなかったの?」
「…はい、美月さんと仲よさげにお誕生日のお祝いをしていて…入れそうに無かったので…渡しそびれました。」
「そっか…あの子無一郎くんに、グイグイ凄いものね…」
複雑な表情をしているゆきに気付いた甘露寺は、慌てて話題を変え今日も、お菓子を作ろうと台所へゆきを連れて行った。
帰り道ー
そよ風が髪を揺らす中、意識は自然と胸元へ向かった。衣服の奥で、義勇さんの指先が触れた場所が、今もまだ熱を持っているように熱い。
「義勇さん…」
私は周囲を気にしながら、そっと胸元に手を伸ばした。
ゆっくりと、衣服の奥から白い紙切れを取り出す。
折り畳まれた紙を震える指先で開くと、そこにはきれいな字が書かれていた。
『逢いたくなったら、昨日会った川辺に来い。任務がない夜は必ず行くようにする。』
義勇さんのあまりに一途な熱が、私の凍えた心を甘く、激しく溶かしていく…。
どうして…忘れる努力をしたのに…
何故また…
私を、誘うの?
ねぇ…義勇さん…