第13章 動き出す運命 〜時透無一郎 冨岡義勇【R18】
産屋敷に着くと他の柱達も集まっていた。もちろん無一郎も…。
お館様がお目見えになった。「今日皆に集まって貰ったのは、義勇の婚約者を紹介するためなのだよ。」
「えっ?」柱達やゆき、凛はざわめいた。
「皆たぶん耳に入っていると思うが、義勇、無一郎、ゆきの関係が鬼殺隊の中でも噂になっている。ゆきが襲われるという事件も起きた。鬼殺隊の士気も下がってはいけない。そこで、義勇に婚約者を作り噂を忘れさせようと思ったのだよ。」
義勇は、戸惑っていた。「お館様いきなりすぎます。」
「いきなりだから戸惑うと思った。しかし気立ての良い子だから口下手な義勇でもすぐに打ち解けると思う。」
「そういう心配ではなく…」
お館様が座敷の奥に顔を向けた。「入りなさい。百合」
奥から現れた娘は、色白の可愛らしいゆきと同じくらいの年頃の子だった。
「由緒正しい家柄のお嬢様だよ。今日から義勇の屋敷で、暮らしてもらう」
急な決定だった。ゆきも戸惑った。奇妙な三人の生活が始まろうとしていた。
「よろしくお願いします。義勇様」
百合は義勇にニコリと挨拶をした。
「よろしくお願いしますゆきさん」
すこしツンとした表情でゆきを見てきた。
お館様が席を外した後、柱達が百合と義勇を囲んだ。
宇髄さんは、ゆきの方に来た。
「お前冨岡とほんと何もなかったのかよ?」
「は、はい。もちろん」
宇髄が、ゆきの頭をぽんぽんした。
「あの婚約者の子ちょっとクセありそうだから気をつけろよ。いじめられねーようにな!何かあれば言って来い。」
「ありがとうございます。」
さっきの私に対しての表情気になったけど、宇髄さん何か感じたのかな?
無一郎が、ゆきの元に来た。
「冨岡さんに婚約者出来て悲しい?」
無表情でじっとゆきを見てきた。
「べ、別に…。」
「ふ~ん」
「無一郎くん?」
「今ものすごく不安そんな顔してるんだけど?」
ゆきは、下を向き黙ってしまった。
その時義勇がゆきの後ろに立っていた。
「帰るぞ」
婚約者の百合が隣で微笑んでいた。
三人が産屋敷邸を後にする姿を皆で眺めていた。
胡蝶が口を開いた。
「ゆきさんはいずれ邪魔者になるでしょうね。」