第12章 義勇の気持ち〜冨岡義勇
庭でゆきが、無一郎に好きと伝えているのを義勇は聞いていた。
自分の思うままに毎日ゆきを抱いた。体を重ねる度に勝手にゆきと気持ちが、通じ合っているのだと勘違いしていた。
よく考えると、自分はよく下世話な質問をゆきにしていた。
時透と自分を比べさせたり、時透とした事があるのかなどあいつの気持ちを、考えずだった。
時透の事を俺は子供だと舐めていた。だが、一番子供は俺だった。
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夜が明けいつもと変わらぬ朝が来た。
「師範おはようございます」
「おはよう」
変わらず稽古が始まった。手合わせをしているが義勇が何かいつもと違う。
そうこうしているうちに、ゆきが一本取ってしまった。
「今日はこれくらいで、傷の定期検査に蝶屋敷に行くぞ」
「はい。」
蝶屋敷に行く道中いつも無言の義勇が口を開いた。
「俺は人と話すのが苦手だ。だから色々誤解もされやすい。どうでもいい相手にはどう思われても俺は構わん。だが、お前は違う。誤解されるのは嫌だ」
義勇の足が止まる。
「今更だと思うが、、。」
ゆきにゆっくり近づいてきて目の前に立った。
「お前が好きだ。」
「……えっ?」
それだけ言って義勇はまた歩き出した。
何で
何で?
私は体だけじゃなかったの?毎日簡単に私の体を求めたのは、本気じゃないから大事じゃないからじゃないの?
なんで今そんな事言うの、、、。
私の感情がぐちゃぐちゃになっちゃうよ…。
その場で立ち止まるゆきの元に義勇が戻ってきた。
「すまない。混乱させてしまったかもしれない。」
複雑な気持ちすぎてゆきは義勇の顔をまともに見れなかった。
そんなゆきの手を義勇が握ってきた。
「でもこれがずっと前からお前を継子にする前からのおれの気持ちだ。」
「お前が好きだ。」
そのまま2人は何も話さず蝶屋敷に歩き続けた。
蝶屋敷では、しのぶが出迎えてくれた。丁度無一郎達も来ていると、ゆきに目を合わせながら言ってきた。
診察室に向かう途中に無一郎と鉢合わせた。
鉢合わせたと言うか、しのぶがわざとそうさせたのだった。
「時透君、今夜夕飯を皆で食べませんか?冨岡さん達もほら。食べて行ってください」