第9章 療養〜冨岡義勇 時透無一郎
まだ真っ昼間の蝶屋敷はゆきの療養している部屋も明るい。
一階なので外からも丸見えだ。
無一郎は止まらずに、ゆきに口づけを続けている。
チュッ、チュッ、チュパ、、、
部屋に二人の唇が、重なる甘い音が広がる。
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義勇は蝶屋敷から、ゆきが体調悪いのですぐ来るようにとの事と鎹鴉から連絡を受けてちょうど到着したところだった。
しのぶが門の前に立っていた。
「胡蝶ゆきの様子はどうだ?」
「今ものすごく熱があがってる所だと思いますよ。」
それを聞き慌てて中へ入って行った。
「あっ!冨岡さん待ってください。こちらから行きましょう」
しのぶは、ゆきの部屋が見える庭に義勇を誘導した。
そして窓から部屋の中を指差した。
「ほら。ほっぺを火照らして目もトロンとして熱があがってますよ」
義勇は、息が止まりそうになった。
無一郎に何度も何度も唇を奪われているゆきはどこか無抵抗だった。
「あの二人は恋仲なのか?」
「どうでしょうね?あっ!以前任務に行く前に蝶屋敷に泊まった時はお二人男女の行為をしていたと思いますよ。だって時透くんが布を何枚か洗濯室から持ち出していて、その布に少し血が滲んでいて、言いにくいのですが体液ぽかったんです。」
義勇は、頭に血が登った。
ガッシャーン!!!!
と、同時に窓を突き破り無一郎に飛びかかっていた。
床に転がり落ちる無一郎と義勇
義勇が馬乗りになっている。
「時透!!!!!!」
「いきなり何ですか?声も煩いです。」
義勇は震える手で胸ぐらを掴んでいる。
「苦しいです。何なんですか?離してください。」
義勇は拳を振り上げて無一郎を殴ろうとした。
「辞めてください。」
ゆきが、義勇の腕を掴んだ。
「何故庇う?」
悲しそうな目で義勇はゆきを見ていた。
とっさに体が動いただけだった。深い理由などなかった。
「もう療養出来ただろう?今日中に屋敷に戻る。今から帰る準備をしろ」
そう言うと義勇は、無一郎を解放して乱れた髪を軽く整えて部屋の外へと出た。
その、背中が寂しそうだった。