第58章 悲しい年の瀬〜時透無一郎 冨岡義勇
義勇が、目の前に来たのでゆきは話しかけようとした。
でも、目も合わせてくれず屋敷を出て行った。
見兼ねた隠が、ゆきに声をかけた。
「柱は、今日は朝から柱合会議なんですよ。ゆき様も継子なのでご一緒の予定なんですが先に行っちゃいましたね…?」
「わ、私追いかけます」
ゆきは、急いで義勇の後を追った。
「ぎ、義勇さん待ってください」
義勇は、後ろを振り返った。
「わ、私も柱合会議ついていきます」
義勇は、黙って前を向いて歩き始めた。
「あの義勇さん」
「……」
「無一郎くんとの事なんですが」
義勇は、振り返らずに一言だけ言った
「婚約おめでとう」
そのまま少し前を産屋敷邸に向かい歩いて行った。
産屋敷邸に着くと、無一郎くんの姿があった。無一郎くんは、私を見つけるとすぐに走ってきた。
「ゆき体調はどう?」
「体調?」
私体調悪いって無一郎くんに言ったっけ?
無一郎は、義勇の方を向き話しだした。
「柱合会議の後稽古しますよね?ゆきに無理させないでくださいね。」
義勇は、じろっと無一郎の方を見た。
「何だ?ゆきは、体調が悪いのか?」
無一郎は、ゆきの肩を抱きながら義勇に言った。
「昨日寝てないので、疲れが出るかもしれないんで」
な、何言うの?無一郎くん…
「寝ていないのか?」
義勇が、無一郎に質問した。
「寝てない…正しくは僕が寝かさなかったかな?」
ゆきは、真っ赤になって無一郎に声をあげた。
「やめてよ!無一郎くん」
義勇は、黙って行ってしまった。
柱合会議が、終わるまでゆきはいつも中庭で待つことにしていた。
庭には雪が積もり、ため池は少し氷をはっていた。
そして、不安な気持ちになっていた。
もしかしたら義勇さんの方から継子を解消されるかもしれないと…
縁側に腰掛けて義勇の会議が終わるのを待っているうちにいつの間にか眠ってしまっていた。
ふとゆきが、目を覚ました時はすでに周りは真っ暗になっていた。
不思議と寒くないと思った…その理由は、体にひざ掛けがかけられていたからだった。
そして隣を見ると義勇が、座っていた。