第46章 幻覚の正体〜冨岡義勇
稽古も終わりいよいよ義勇が、ゆきに打ち明ける時刻が迫ってきた。
義勇は、落ち着かずに庭を歩いていた。
すると声が聞こえてきた…。
「ゆき様僕なにかしましたか?ずっと避けてませんか?」
「な、何って…私達は…」
ゆきとあの隠の声だった。
「いつも朝食のお手伝いをしてくださるゆき様を、僕はお慕いしておりました。霞柱様との仲は噂で聞いております…だけど好きになる気持ちは止められません…」
ゆきは、隠から距離を取りながら言葉が出ずにいた。
「ゆき様…避けるのだけは辞めてください」
隠は、ゆきに近づき髪に触れようとした
「だからお前は、ゆきに接触が多すぎる」
義勇が、ゆきの前に割って入った。
「早く持ち場に戻れ勝手に大事な継子に触れるな!」
「も、申し訳ありません」
隠は、持ち場に戻って行った。
義勇は、振り返えろうとした時…ゆきが、背中にしがみついてきた。
羽織を掴みながら、震えていた。
「こ、怖かった…」
義勇は、後ろを振り返りながらゆきをみた。
震えながら俺の背中に、顔を埋めていた…。
「…なぜあの隠を、そんなに怖がる?」
「…理由は…言えません…」
「何か嫌なことをされたのか?」
「…それは…」
「お前が傷つくような事をされたのか?」
「…相手によっては、傷つかない事です」
「俺が、もしそれをしたらお前は傷つくのか?」
ゆきは、黙ってしまった…。
「それをされるのが、俺とあの隠どちらだったらいい?」
何で、そんな質問してくるの?義勇さん…どちらならいいって…そんな質問…
「わかりません」
義勇は、向きを変えてゆきの両肩を持った。
「悪かった意地悪な質問をした」
「あの…師範今朝言ってたお話ですが…夕食の時に話してくれるって…」
義勇は、困った表情をした…そして
「話すのにもう少し時間をくれ…夕食の時は、違う話をしよう」
義勇は、ゆきの手を引き食事が用意されている居間に向かった。
まだもう少し…時間が欲しかった。
その頃
外で警備をしていた隊士が、異変を感じて裏口を見に行ってみた。
そこには鬼がいた…