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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第44章 消えた薬〜冨岡義勇 時透無一郎


「胡蝶すまない。こいつを休ませてやってくれ」

「あらゆきさん。どうぞそちらで休んでいってください。」

しのぶは、そう言うと何やらずっと戸棚を開けたり奥を覗いたりしていた。

「何か探してるのか?」

義勇が、不思議そうに聞いた。

「数日前からある薬が消えたんです」

「どんな薬だ?」

「幻覚を見せる薬です。親族を亡くされた方や恋人を亡くされた方が、会いたいのに会えなくて体調に支障が出る時に特別に、お出しするお薬なんです。」

「そんな薬があるのか…」

「はい。その薬の数が足りず誰かに盗まれたようです…悪用されないか心配で」

ゆきは、ベッドで横になりながらそんな薬があるんだ…と思いながら聞いていた。



〜〜

無一郎は、義勇に連れて行かれたゆきが気になって仕方なかった。

「無一郎くん急に立ち上がってどうしたの?」

「どうでもいいでしょ?」

蝶屋敷の中へ入って行った。

廊下で、しのぶと義勇がなにやら深刻そうに会話をしていた。近くにゆきの姿は無かった。

療養部屋を、ゆっくり覗いていった。

いない…いない…いない

奥のいつも、皆を診察する部屋が最後だった。

中を覗いた…。

ベッドで、涙の跡が残ったまま眠っているゆきがいた。

長い睫毛は、涙で濡れていて透き通る肌に涙の跡…
桜色のかわいい唇が、愛おしいほどかわいい…。
僕が前にきつく手首を握って付けてしまった傷が、まだ微かに残っていた。

寝息までもが、可愛くて愛おしい…。

無一郎は、起こさないように近づいた。かわいい唇に触れたくて指を伸ばした…。

「無一郎くん」

凛が隣に立っていた。

「なに?なんでここに…」

無一郎が、話している途中に凛は、無一郎の両頬を持って口づけをした。

「んっ////」


物音が、して目が覚めた…。見慣れた少し水色がかった隊服が見えた。そしてあの長い髪…

そして……

二人がなぜか、私の目の前で口づけを交わしてた…。

凛が得意気な表情で、私を見ている…。あぁそうか…好きな人の口づけを、目の当たりにするとこんな気持ちになるんだ…

「離せよ!俺に触れるな!」

無一郎が、ものすごい剣幕で凛を突き飛ばした。

騒ぎを、ききつけ義勇としのぶも部屋に入ってきた。

ゆきの目から涙が溢れていた。
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