第33章 十四歳と一九歳〜時透無一郎 【R18】
ゆきは、蝶屋敷に急いでいた。すっかり夜になっておりいつ鬼が出てもおかしくなかった。
あと少しで蝶屋敷だと言う時に女の人の悲鳴が聞こえた。ゆきは、迷わず悲鳴の方へ向かった。
鬼に襲われていたのだった。
「水の呼吸…」
簡単に頸を切れると思った…が、そうはいかなかった。
倒れている女性に気を取られて目を向けてしまい血鬼術を受けてしまった。
「っ…」
声を奪う血鬼術だった。
それでもゆきは鬼に向かった。隊服がどんどん斬れていく。素肌にも鬼の爪の跡がのこる
だけどゆきは、闘いつづけた。その時ものすごい風が吹いてきた。
風柱、不死川実弥だった…
華麗に頸を切り落とした。
ゆきは安堵で気をうしなった。
〜〜〜〜〜
ゆきは、不死川によって蝶屋敷に運ばれた。
「胡蝶!胡蝶!早く来てくれ!」
「あらあらゆきさんじゃないですが?」
「さっき血鬼術にかかった、見てやってくれ」
「どうだ?胡蝶?」
「これは、厄介ですね。声を奪う血鬼術がかかっています。多分数日たてば治ると思うんですが…。身体の傷は大したことないですよ」
「そうか…ありがとう」
「目を覚ました時に声が出せず驚く事になると思うので不死川さん付いていてあげてください。」
「お、俺が!?」
「では、鴉を使って冨岡さんを…」
「いや、いい。俺がいる」
〜〜〜〜
暫くしてゆきは目を覚ました。
ここは…?私鬼と闘っていて…。そうだすごい風がきて不死川さんが助けてくれたんだ。
「おっ!気がついたか?」
不死川が部屋に入ってきた。声を出そうとしたその時
「……っ」
えっ?話せない?声がでない
「お前血鬼術で声が出せねぇようになってるんだよ。ただ数日たてば治るってよ」
ゆきは、不安そうな顔で不死川をみた。
「大丈夫だ」
不死川はベッドの端に座りポンポンとゆきの頭を撫でた。
「取り敢えず今日は寝ろ。体に傷も受けてるし安静にしろ」
ゆきは、不死川にゆっくりとベッドに寝かされた。
「冨岡でも時透でもねぇけど今夜は俺がついている」
ゆきは、無一郎の事が気になった。今すぐにでも無一郎の部屋に行きたかった。
だけど体は痛いし、声も出ない…。涙だけが流れたー。