第32章 増えていく二人だけの秘密〜冨岡義勇 時透無一郎【R18】
「秘密?」
「あぁ…今から口づけをするから秘密が増える」
「待ってください!駄目です」
「言わないから時透に、二人だけの秘密だ」
優しく唇が触れた。それからだんだん激しくなった。
舌が絡まってくる。息が続かない。足に力が入らなくなった私を義勇さんは腕で支えて体に抱き寄せる。
義勇は一通りゆきの唇を味わったところで力いっぱい抱きしめた。
「すまない。やっぱり時透の所へ行きたいんだろう」
「はい」
義勇に両手で顔を包み込まれた。表情を変えずにじっと見てくる。
「明日きちんと稽古に来い」
「わかりました」
義勇から離れようとしたしたゆきをもう一度自分に引き寄せた。
「すまん。もう一度だけ」
唇が触れそうになりゆきは、拒んだ。
「本当に辞めてください」
義勇の腕からすり抜けてゆきは行ってしまった。
〜〜〜
無一郎は銀子からゆきは来ないと報告を受けていた。それに義勇が、ゆきは稽古に任務に毎日忙しいのに夜に看病までしたら身が保たないとも言ってたことも伝えた。
「師範、私が看病しますしもういいじゃないですか?」
凛は僕に優しい、それに気も利く僕に気がある事もすごく伝わってくる。
一度突き離した。なのに今僕をまだ慕っている。ゆきとはいつも上手くいかない…冨岡さんが見え隠れする。冨岡さんは、大人だし…僕はまだ一四だ…。
太刀打ちできないのかな…。胸が痛い…締め付けられる。
ゆきにとってはただの子供や弟にしか見えていないのかな?
日が暮れて夜になった…
無一郎は、いつものごとくまた発熱した。いつまでこの血鬼術が消えないのか…
凛が汗を拭いてくれる。僕の隣でずっとついていてくれる。
家族が亡くなった僕は孤独だ…
記憶を取り戻して兄さんの事も思い出した…こんな時にこそゆきが側に居て欲しかった。
だけど今そばにいるのは、僕が切り離した凛だ…。
顔を向けると微笑んでくれる。
ゆきとは、僕は合わないのかな?ダメなのかな?
今日も夜だしもう来ないよね…
「師範…いえ無一郎…私はあなたと歳も同じです。ゆきお姉様は五つも上です。私に振り向いて…」
凛が僕に近づく…僕にゆきを諦めろって…