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【鬼滅の刃】彩りの恋(R18)短編集

第2章 若草色の恋(不死川実弥)



「相澤ー…早く帰れぇ…
皆帰っちまったぞ。俺も職員室早く戻りたいんだわ…」


『…………』


外を眺める生徒の薄いグレーの髪がサラサラと風になびく。


ったく…


コイツ、相澤雫は本当に変わり者だ。
帰りのホームルームが終わっても、いつも最後まで居残り、窓を少し開けて空を見つめている。

少し前に理由を聞くと、風が気持ちいいのだという。



風なんざ外でいくらでも感じたらいいだろうが…



早く職員室に戻って小テストの採点をしたい。

「相澤、俺はもう行くぜ…窓、ちゃんと閉めてけよ。」


戸締まりは担任の責任。
生徒がきちんとしないと後々面倒なので、できれば最後に教室を出たかったのだが…

教科書と小テストを持って立ち上がると、教室を出ようとした。


『不死川先生…』

「…ん?…どうした?」


『先生は……』

薄緑色の瞳が俺を捉える。



『前世の記憶って…信じますか?』

「…はぁ?前世?何だぁ?いきなり…」


また変な質問してきやがった。

ツラだけは、大人もたじろぐ程本当に綺麗だが、こいつのこういう雰囲気にだけは少し…気持ち悪さを感じていた。



何だよ前世って…宗教の勧誘か?



『…っ…突然すみません……何でも…ないです。』

パタパタと教室を出ていく相澤。


「だから…窓閉めろって…」

深くため息をついて相澤の席まで歩いていき、窓に手をかけながら空を見つめた。



「……風ねぇ…」



アイツを気味が悪いと思う理由はいくつもあるが、1つ目…



実は俺も風を感じるのが好きだ。



小さい頃、遊園地の子供用ジェットコースターで感じた風に味をしめ、大きくなってからは絶叫系の乗り物に乗りまくり、バンジーにハマり、より長く風を感じたくて海外までバンジーをしに行った事もある。
ビルの上から落ちる爽快感。

不思議な事に、長く風を感じる度に心が落ち着いた。

どこか懐かしいような感覚もあった。



だから俺は…



「前世の記憶なんざねぇが…
多分俺の前世は鳥だ。」


風に取り憑かれるなんざ変わってるに決まってる。


故に人には言ってねぇが、まさかアイツと同じとは…


「ツラだけはマジでいいのに、残念な奴…」



窓を閉め鍵をかけると、俺は職員室まで向かった。
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