第1章 群青色の恋(冨岡義勇)
毎日、お前を思っては安らかな気持ちになり
お前の笑顔を見ると、心から満たされた。
自分が鬼狩りである事を忘れるくらい、殺伐とした世界を生きる俺の心を癒してくれているのは雫…
お前だ。
だからこそ…
「お前を大事にしたい…
お前が怖い事や嫌だと思うことはしたくない…」
『…だったら……』
濡れた瞳で俺の目を見つめる雫。
『私が何が怖くて、何が嫌だと思っているのか…
聞いてくださりますか?』
「わかった。聞こう…」
『私は……義勇様が私の事を…どう思ってくださっているのかわからない事が怖いです…私に触れてくださらない事も…
こうして一緒にいたいと言ってくださるのに、触れることはない。それが…怖い……』
そんな風に思わせていたのか…
「すまない…雫…」
『嫌な事は…義勇様を心からお慕いしているのに…
その義勇様をこうして…困らせている自分が嫌です…
ごめんなさい……』
「いや…俺は困っていない。お前の本音が聞けてよかった。」
もう…我慢しなくていいんだな…
雫の頬に手を添え、瞳を真っ直ぐに見て言った。
「お前が好きだ、雫。」
俺はそう言うと、そっと雫の唇を塞いだ。
『んっ……ふっ……』
舌を絡めると、ビクリと震え目を閉じた。
ぎこちなく絡まる小さな舌。
もしや…
「初めてか?」
コクリと頷く雫。
『口付けは…されたことがありません。
義勇様との口付けが、生まれて初めてです…』
頬を染め、涙を溜める雫に何かが弾けた。
雫の肩を優しく押し、布団に組み敷いた。
『…っ……』
「雫…俺の全部をお前にやる。
だからお前の全部も、俺にくれないか…?」
俺の下で雫は涙を零し、呟いた。
『はい…勿論…』
初めからこうしていたら良かったのか…
俺は目を瞑り、もう一度、雫に深く口付けた。