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【鬼滅の刃】彩りの恋(R18)短編集

第1章 群青色の恋(冨岡義勇)



「では、冨岡様…買い出しの付き添い、よろしくお願いしますね。ごゆっくり行ってらっしゃいまし…」

ふふ、と笑って俺たちを外に追いやる女将。


気づいているか…無理もないな。

『…あの……』

「…何だ。」


モジモジとする雫。

『あの…今日は義勇様と二人でお出かけ…嬉しいです。
私、あまり町に出かけたことがなくて…』


頬を染めて俯く雫は、本当に俺の知る雫ではない程、美しく見えた。


「そうだな…少しくらいゆっくりしても大丈夫だろう。
女将もああ言っていたし…」


女将に何か買っていかねばな…


買い出しは思ったほどなく、調味料が主だった。

途中、店で甘味を食べたり、雫の髪飾りや女将への土産の菓子を見たりしていると、徐々に雲行きが怪しくなってきた。


『午前中はあんなに晴れていたのに…』

するとわずか数分で、ポツポツと雨が降り出した。

草履屋の軒下で雨宿りをしていると、店の旦那が

「今日はもうこの雨、止まないよ。台風が来るから用心した方がいい。」

と店終いを始めた。

「家はここから少し遠い…
山道を通らなければ帰れない距離なんだが…」

「山道っ…?土砂が崩れたら危ないよ。
女の子連れてるんだ、今日はもう、どこか泊まった方がいい。」

「………」


泊まる…?


そんな事ができるわけがない。

『…あそこに泊まれませんかね?』

雫が指差した先は…

「雫っ…あそこは違…」

『人が立っているので聞いてきます、お待ち下さい。』

「っ…雫…」

バシャバシャと雨の中を走り、建物の前にいる主人に確認すると、こちらへ戻ってきた。

『大丈夫だそうです、二人泊まれます。……義勇様?』

「雫…あそこがどんな場所か知っているのか?」

『宿…じゃないのですか?』


建物の外には立派な灯籠がある。
雫が間違えても無理はない。
それに雫は町にあまり来たことがない。


「間違いではないが…」

『…っ…申し訳ありません、義勇様。
私などと外泊するのは…お嫌でしたよね。』

深々と頭を下げる雫。



違う…そんな事では…



雫が話をつけてきたのは…




待合茶屋だった。



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