第1章 群青色の恋(冨岡義勇)
青天の霹靂だった。
雫は目に見えて回復しており、そろそろ住む場所を考えなければ、と思っていたが、そんな風に考えていたとは…
「女将…俺からも頼みたい…
俺にできることは何でもさせてくれ。」
雫にそのような意思があるのなら、できるだけ叶えてやりたい。
「ふふっ…私は構わないし、こんな歳だからむしろありがたいのだけど、雫ちゃんは…3人での生活を、ずっとしていきたいだけだと思うわ…」
『………?』
「まぁ…考えていても仕方ないわね…じゃあ、まずは鬼殺隊の方がみえたら深夜だろうが何だろうが起こします。お食事の準備や傷の手当て、お布団の準備…やる事は本当に色々あるけれど大丈夫?」
『っ…ありがとうございます。』
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1週間程経ち、鬼を斬って家に戻ると、深夜にも関わらず藤の花の家には煌々と灯りがついていた。
鬼殺隊員か…?
用意してもらった自室は一番奥にあり、明かりがついた何やら声のする部屋の前を通り過ぎようとすると…
「お前…足大丈夫か?」
「いや、痛ぇよ…死ぬほど…明日医者呼んでくれるって話だし、ここにいれば安心だけど…」
「…さっきのさ、女の子…」
「あぁ、俺も思った。前来た時はいなかったよ。見習いかな?めちゃくちゃ可愛くね?」
「くっそ、あんな子に触ってもらったんだら、お前ずりいよ。」
「へへっ…傷が痛むことにして、あの子何回も呼んじゃおうかな…」
スパンっ
俺は襖を思い切り開け放った。
「はっ……!は、は、は……柱!水柱の冨岡様……
冨岡様も…こここ…こちらに…いらしたのですか…
お怪我ですか………?」
「そんなわけないだろう。」
ですよね…という隊士の部屋にずかずかと入っていった。
「傷はどうだ。」
「えっ、あ…はい…骨折したのか右足が動かなくて…」
「見せてみろ。」
えっ…そんな…柱、とごちゃごちゃ言う隊士を無視し、足に触れた。
添え木を当て、ぐるぐると足に巻かれた包帯はなんとも不格好で、思わず小さく噴き出した。
「「ぇ…………」」
固まる2人の隊士の顔を見てハッとし
「そうだな…恐らく骨折だろう。安静にするといい。
ただし…」
そう言うと俺は隊士を睨みつけた。