第15章 潔白
「西口、俺は別に最初から
鬼殺隊に入りたいとは思ってなかったんだよ。」
西「何…言ってんだよ…お前…」
「最近、親父が西口の親から金を借りただろ?
けどそれって
最近じゃなくてずっと昔からなんだよ。
お前が鬼殺隊に入るっていうから
俺は西口の親父さんに頼まれて入隊しただけ。
息子のお前を近くで守って欲しいって…
俺も親父にそう言われたからな。」
西「!?おじさん…そうなんですか?」
「っ、ま、まぁ…」
「フンッ、けど実際入隊してみると
遭遇する鬼どもは気味悪い奴ばっかだし
毎日鍛錬鍛錬でキツいし…
そこにいる2人を含めた柱も
偉そうな奴ばっかでムカつくしな。」
西「なっ…!!お前!!
そんな口の聞き方は柱に対して失礼だろ!!」
「俺は思ってること言っただけだっての。
辞めさせたければ好きにしろよ。
俺は鬼殺隊に何の未練も残ってねぇから。」
『…。』
隊士の人がそう話している様子をジッと見ていた私は、その時の彼が嘘をついているように見えた…、本音ではないように聞こえた…。
こんな時、鼻が利く炭治郎がいてくれたら
嘘をついてるかどうかすぐに見破ってくれるのになぁ、と思っていると、隊士の人は再び口を開いた。
「まぁ、辞めた後は憂さ晴らしに
今度は鬼殺隊の悪評を一般人に流してやるよ。
鬼だけじゃなく、人間も平気で殺そうとする奴がいるって噂を広めたりしたら面白いかもな…?」
し・冨「「……。」」
『そんなっ…、それは酷すぎますよ!!
ただ一般人の恐怖を煽るだけじゃないですか!!』
「そんなの俺が知ったことか。
鬼殺隊の評判が下がれば何だっていいんだよ。」
この馬鹿息子…
一体どれだけの人を苦しめれば気が済むの…?
身内を鬼によって殺されて、天涯孤独になってしまった隊士達にとっては、鬼殺隊は大切な居場所だと思ってる人は私の他にもたくさんいるのに…
人々が平和に暮らせるように鬼を倒し
命懸けで戦っているような人達が大勢いる鬼殺隊の悪評なんて一つもないのに……
この人が憂さ晴らしをしたいからって
なんで鬼殺隊が犠牲にならなきゃいけないの…?