第5章 事故、そして…
そんな加賀の言葉がズシリと雅の心に突き刺さる。
「…ッ」
「雅ちゃん…」
「好きでいるの…迷惑ですか?」
「そうじゃねぇよ。ただ俺はなんつぅか…デキた人間でもねぇしよ?走ることでしか自分見いだせねぇっつぅか…」
「…ごめんなさい…困らせて…」
「でも…ありがとう」
「いえ…そろそろ今日子さんも戻ってくるかもですよね…なんか長居して…すみません…」
「いや…」
『帰ります…』と一言呟いて雅は加賀の病室を後にした。外に出て一歩、また一歩と歩きを進めるほどに涙があふれてくる。
「…あれ?雅?」
そう声をかけられても顔を上げることができなかった雅の肩を掴んで引き留めたのは新条と一緒に来ていたミキだった。
「…やっぱり…来てたんだ?…って…どうしたんだよ」
「ミキさ…ッ…」
「加賀の容態変化したのか?」
そういわれ首を左右に振る雅。声を荒げることも無いままにミキの肩にもたれて泣きじゃくっていた。
「新条、悪いんだけど、加賀の所一人で行ってくれる?」
「あぁ、解った。」
「また連絡する。」
「というか、玄関出た所にベンチあったろ、そこで…」
「あ、解った」
そうしてミキは雅を連れて病院を後にし、外のベンチに腰かけた。
「…どうしたんだよ、雅」
「…私…ッッ…ック…ヒック…」
「何?ゆっくりでいいよ、どうした?」
なだめる様に、そして落ち着かせるようにミキは背中をさすりながらも雅が落ち着くのを待った。