第2章 思い出す記憶
「アンリがなんで私の好きな人を知ってるのかは判らない…けど…1位の約束とかで告白は・・その、出来なくて」
「いいよ。どうせ僕が1位取れないことは解ってた。」
「それはどうかわからないじゃん…」
「分かってるよ。解ってて吹っ掛けたんだ」
そう言いながらも表彰台の三人を見ることができずにいるアンリ。
「風見先輩を取られて…それで今度は雅まで…誰かにとられるなんて…」
「へ?」
「だってそうでしょう?!加賀を、あいつを選ぶっていうなら僕を捨てていくんでしょう?」
「あ、あの…アンリ?」
膝を抱えたまままっすぐに見つめるのは表彰台、いや、頂上でハヤトにシャンパンをかけている加賀を見ていた。
「あんなアカウミガメのどこがいいんだよ。」
「あ、かうみ…なんだって?」
「アカウミガメ!知らないわけ?」
「えと、知らない…かな…」
「まさにあいつだよ」
そう言いながらも不貞腐れたように顔を突っ伏すアンリ。
「…あのね?アンリ」
「何」
「私別にスゴウグランプリからいなくなるわけじゃないし…」
「今はでしょ?!今後なんかわからないじゃないか!」
「そういわれても…今一緒に居るじゃダメ?」
「…今は居ても明日にはいなくなるかもしれない」
「それはないって…」
「…明日の事なんか…今のあんたに解るわけないでしょ」
「それってどういう事?」
「…フン…」
歓声の中で二人は参加をしないまま、座っているものの、そこに修がやってくる。
「…アンリ、ここにいたのか」
「何?」
「行くぞ?」
「え、行くって…?」
「雅も一緒に来るか?」
「どこに…って、聞くまでもないですよね」
「行かない」
「いつまで維持張ってるんだ」
「張ってないですよ!」
「それを維持張ってるっていうんだ。行くぞ」
そうして修に連れられてシュトルムツェンダーに向かっていく。