第15章 炎上
「敵の首謀者は帰蝶と毛利元就と見て間違いないです」
途端に広間は騒つく。
「帰蝶は、あんたたちがここに来るのと入れ違いで織田を出た奴。毛利元就は謀神と呼ばれるほどの男で安芸の武将だ。死んでいたと聞いていましたけど、生きていたって事ですか」
家康さんがすかさず帰蝶と毛利元就の説明をしてくれる。
「その様です。慶次様によると帰蝶の方は堺にある商館に、元就は海賊になって身を潜めていました」
「おうよ。俺が潜入していた帰蝶の商館には大筒がたくさんありました。元就も商館で姿を確認しました」
慶次と呼ばれた男が潜入中で見た事を全て話す。
「そういや、美桜と琴葉は慶次に会うのは初めてか」
秀吉さんがそういえばという感じで言う。
「急に信長様の元を離れて何をしているのかと思えば急に戻ってきて砲撃を報せて‥‥次こんな事をしたらタダじゃおかないからな!」
「落ち着け、秀吉。慶次の報せが無ければ被害はもっと多かった。咎はなしだ」
「流石信長様!お心が広い!‥‥お前達が噂のお姫様か。俺は前田慶次だ、天下の傾奇者といえば俺の事よ。よろしくな!」
人の良い笑顔を浮かべ握手をしてくる。
「はじめまして、慶次さん」
「やめろやめろ。気楽に呼んでくれ、敬語もナシだ」
慶次の明るい雰囲気で沈んでいた心が軽くなった。
「わかった。慶次、よろしくね」
家康さんが琴葉の手を握っている方の慶次の手を払う。
「ちょっと、人の女に気安く触らないでくれる?」
「おっと、それはすまん。いやー、見せつけてくれるなー!」
家康さんの発言に琴葉は赤面している。家康さんって意外と言うんだなと内心思った。
「信長様の御前だぞ」と秀吉さんに言われ、気を取り直す。
「まだ情報が掴めていない。だが、これを機に周辺の大名達が反乱を起こそうと戦支度をしているとも報が入った。俺たちも鎮圧するために向かう事とする」
それからは反乱軍の鎮圧の話となり、明日以降早速出陣する手筈となった。